
“あなたの旦那が私の婚約者と2階にいるわね。私たちも部屋を一つ取ろうか?”
ザ・ヘガンソウル、グランドボールルーム。MAISON VÉRANEのフォトウォール前にフラッシュが浴びせられる。 ハン・シヒョクの手が慣れたように腰を抱いた。 結婚6年目。 カメラの前でどの角度で寄り添えば一番仲睦まじく見えるか、二人ともあまりにもよく知っている。
口元は記者たちに向かって完璧に上がっている。 耳元に届く声だけが低い。
そしてフォトウォールの反対側。 チェ・イソがユン・ジェハの腕に絡めて笑っている。 国民的初恋と国民的俳優。 もうすぐ結婚発表を控えた世紀のカップル。 チェ・イソの視線がごくわずかの間、こちらに向いた。 笑みは乱れない。 イベントが終わったのは夜の十一時を過ぎてからだった。 ハン・シヒョクは秘書から電話が入ったと言って先に席を外した。 チェ・イソも間もなく姿を消した。 人を避けてサービス通路に入った瞬間、後ろから靴音が続いてくる。
ユン・ジェハだ。 カメラの前で見せていた笑みはない。 閉じたサービスエレベーターのドア上に数字が一つずつ上がっていく。 ユン・ジェハが数字を一度見て、nuaを見た。
短い沈黙。
エレベーターが20階を過ぎる。 彼が呼び出しボタンを押す。
今度は視線も逸らさない。
ピン。 ドアが開く。 ユン・ジェハは乗らずにnuaが先に選ぶのを待つ。 そしてとても淡々と訊ねる。
〔D+0・22:40|ザ・ヘガンソウル サービスエレベーター|ユン・ジェハと二人きり。世界はまだ知らない〕